たかゆう日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

『日本再興戦略』メディアアーティスト落合陽一が語る日本の強みとは?

落合陽一の日本再興戦略。さぞや最先端テクノロジーを駆使した話が展開されるかと思いきや、なんと日本史から始まる。

これには驚きました。

経営者であり、メディアアーティストであり、大学の学長補佐である著者だからこそ見えてくる再興計画とは?

日本史を探求する魅惑の旅へ

日本を再興するには歴史を知らなければならない。それも明治時代や昭和初期ではダメだと、著者は言います。

まずは日本が近代化以前に得たもの、日本が近代化以後に得たもの、そして我々が今、適用しないといけないものをしっかり整理することが大切なのです。

日本のシステムは、イギリス式、アメリカ式、フランス式、ドイツ式がごちゃ混ぜなんですね。たとえば法律。刑法はドイツ式、民法はフランス式、憲法はアメリカ式です。

そもそも「日本には何が向いていたのか」、そして「これから何が向いているのか」を、歴史を振り返りながら考えていかないといけないのです。

これまではうまくいったけれど、日本の本質がどこにあるのかを探求しないといけません。

古代から振り返る日本のシステム

古代、出雲政府と大和朝廷の争いがあり、大和朝廷が勝利します。ですが、大和朝廷は出雲を滅ぼさずに、神の存在も認めます。

そこから日本は日本として成立し始めました。

日本という国の輪郭が見えてきました。

そして、次に注目すべきは、中臣鎌足による大化の改新。

この大化の改新によって、日本の基本スタイルが生まれました。

ここから律令政治が始まり、日本の中心に天皇制を持ってくるけれども、周りにいる官僚が政治を行うというスタイルにいたります。

それから743年、墾田永年私財法で、土地を国民が永遠に所有できるようになったことも現代まで続く大きな変革だとします。

三世一身の法の決まりで、三世代までしか土地を所有できなかったんですね。土地は国家が所有するものから、国民が所有するものになったのです。

中臣鎌足の子、藤原不比等は、『日本書紀』『古事記』を書き直しました。天皇を神の子孫とする神話を作り出したんですね。教義や神話を国策として編纂したというわけです。

百姓はマルチクリエイターだった!

歴史を紐解くと、現代の日本が浮かび上がってくるんだなぁと感じました。落合陽一からの視点で歴史をたどる旅は心地いい。

続けていくつかご紹介しましょう。

戦国時代は「世界大戦」で、2つの選択肢があったとします。

中央集権型で外交的成長戦略の秀吉的世界。非中央集権型の地方自治で、内需に頼る徳川的世界。どちらが勝つのか?

結果は徳川的世界でした。ここから日本は非中央集権が向いているのではないかと、著者は仮説を立てます。

あと面白かったのは、「士農工商」を完全に肯定していること。

「農」の価値が高く、「商」の価値が低い並びです。「商」は生産にかかわらず何も生み出していない、ゼロサムゲームをしているだけだから、この並びは正しいと、著者は主張します。

もの作りへのリスペクトにあふれていますね。

百姓とは、そもそもは生業が100個ある人のこと。木工、文筆家、祭りを仕切る、医者もいたそうです。

これってマルチクリエイターじゃないですか。本書の中でも百姓は多動力があったと解説しています。ホリエモンは現代の百姓だった!?

エジソンとフォードが20世紀を作った

歴史の旅はいよいよ近代に入ります。

20世紀を作ったのは、エジソンとフォード。電気製品を作って売り、自動車は大衆化されました。

これが大量生産、大衆化する流れを作っていったとしています。

均一化は近代では正しいことでした。

高度経済成長は、「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」によって起こったと分析しています。

うまくできたシステムだったわけですね。

だけど時代が変わり、いまだ近代の仕組みを引きずっていて、そこから脱却する必要があると説きます。

そのヒントとして、地方分権やワークアズライフがあります。ワークアズライフは仕事と生活が一体化することですね。百姓みたいになろうということです。

人口減少と高齢化はチャンスだというのも、おもしろい視点。

  • 打ち壊し運動が起きない
  • 輸出戦略につながる
  • 教育投資

打ち壊し運動が起きないというのは、世代交代や機械化の移行がしやすくなるという意味。輸出戦略は、日本が高齢化社会へのソリューションを生み出すことができればほかの国に輸出できるということ。教育投資も子どもが少なくなるからこそできることになります。

5Gが革命を起こす

もちろんテクノロジーの話も出てきます。前半の歴史パートと、後半のテクノロジーパートが融合していきます。

テクノロジーはVR、AI、ブロックチェーンなどに触れていきますが、読んでいて興奮度が高かったのは、次世代通信システム5Gについてでした。

5Gになると、いまの4Gの通信速度100倍、容量1000倍。1ミリ秒遅れで情報通信できるようになるんですね。

情報取得の体験が変わります。デバイスにメモするのもストレスなし。

3次元会議、遠隔医療、遠隔介護も実現度が上がるそうです。

5Gは、2020年からスタートするので、ワクワク感ありました。

おすすめ度8☆☆☆☆☆☆☆☆★★

政治、教育、会社、働き方にまで話は広がるのですが、日本を再興するには幅広い視点で考えるべきということですね。

ちなみに著者の幼少期の教育が充実していてびっくり。

  • 月曜日 ピアノの先生
  • 火曜日 東大院生が来て算数
  • 水曜日 公文式
  • 木曜日 実験教室
  • 金曜日 画家と絵を描く
  • 土・日 ピアノの発表会

幼稚園にも行っていたそうですが、メインは習いごとだったそうです。

落合陽一は知識量だけでなく、アクションの量もすごいのですが、彼の頭の中を知る手がかりになる点も含めて、『日本再興戦略』おすすめです!